◆ 第1章：静かな放課後から始まった
放課後の教室。黒板にはその日の連絡事項がうっすら残り、夕日が斜めに差し込んで机の影を伸ばしている。瀧石はプリントをホチキスでまとめながら時々ちらりと視線を上げる。
ユイカは窓際でノートを開き、髪を耳にかけて静かに勉強している。特別な表情はなく、淡々とペンを走らせているだけだが、その横顔に瀧石の視線は吸い寄せられる。
Aさん：おい瀧石、ずっと見つめてるで。惚れてんのか？
瀧石：違うよ。
とっさに否定したが、手元のプリントはすでに順番を間違えている。心のどこかで“気になってしゃーない”と自覚しているのが、顔に出ている。その“離れられない感じ”を自覚している。
◆ 第2章：距離が詰まる“偶然”が増えていく
廊下。ユイカが後輩に質問されて困っている。瀧石が声をかけると後輩たちが散る。ユイカはほっとした様子で軽く笑う。
瀧石：ユイカ、職員室に行くんだろう？
後輩が謝り、ユイカは「助かった」と言う。その笑顔が瀧石の胸に引っかかる。
屋上でジュースを飲む場面。瀧石は校庭のユイカを目で追ってしまう。
Bさん：絶対好きだろう。
瀧石：どうなんだろう。わからない。
心臓の反応だけは嘘をつかない。
◆ 第3章：決定的な“瞬間”が来る
雨の日の帰り道。ユイカは傘を持っていない。瀧石も傘を持っていないが、上着を脱いでユイカにかける。
ユイカ：あっ…
二人は雨の中を走る。肩が触れる距離になる。走り終えた直後、ユイカが「ありがとう」と小さく微笑む。瀧石はそれを胸に刻む。
◆ 第4章：自覚と葛藤
図書室。瀧石が課題をしていると、ユイカが隣に来て座る。ユイカは淡々とペンを走らせるだけで、特別な表情は見せない。
ユイカ：（何も言わず、静かに作業を続ける）
夜道、Aさんと帰る。瀧石は自分の気持ちを打ち明ける。
瀧石：俺、多分ユイカが好きだ。
Aさん：やっとか。覚悟決めろよ。
瀧石は言葉に詰まるが、内心では戻れないことを感じている。
◆ 第5章：告白前の揺れる時間
文化祭準備で遅くなった帰り。ユイカは普通に楽しそうに話している。瀧石はずっと告白のタイミングを探る。
ユイカ：瀧石、今日なんだか変だよ？
瀧石：そうかな。
Aさんが最後の後押しをする。
Aさん：お前今日言え。逃げたら一生後悔するぞ。
瀧石はうなずき、決意を固める。
◆ 第6章：告白（運命の瞬間）
校舎裏、夕日。瀧石は深呼吸して告白する。
瀧石：ユイカ、好きだ。ずっと前から。
ユイカ：……ごめん。今は誰とも付き合う気はないの。
ユイカの返答は淡々としており、迷いや揺れは読み取れない。ユイカは頭を下げて去る。瀧石はひとり残される。
◆ 第7章：後から知る別の事実
後日、Bさんからの情報。ユイカが他の男性と二人で出かけているのを見たという噂を聞く。
Bさん：瀧石…ユイカ、他の男性と二人で出かけていたらしいよ。
クラスではユイカは普段どおり振る舞っており、瀧石に対して避けるそぶりはない。瀧石は、自分だけが燃えていたのだと悟る。
◆ ラスト：Aさんの一言
夕方の教室。Aさんが瀧石の肩を叩く。
Aさん：瀧石。お前、マジで頑張ったで。次はちゃんと向き合ってくれる子、絶対来る。
瀧石：（小さく笑う）
瀧石の笑顔には痛みと諦めと少しの希望が混じっている。夕日が校舎を染めて幕が下りる。